2011年08月12日

ジュリエットには甘いもの 前編

   プロローグ

 汚い暖炉の横にめがねを置いて彼は手でこめかみを押さえた。激しい頭痛が何度も彼を襲っていた。
「フォードル。目を開けろ」
 膝をつき、半目で床の上を見ていたドストエフスキーの視界に獣のような足が現れていた。青い足で衣類を何もつけていないその悪魔は三叉鉾で地面をトントン叩いている。続きを読む
posted by 罧原堤 at 18:24| 現代詩フォーラム-散文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ジュリエットには甘いもの 中篇

   11  そして、私は、……いや僕は、湖から生還した

 近くに大きな公園があって、僕は、夜中、いつも一人で出歩いていた。街路樹の木の葉が街灯の明かりに照らされている。緑色に。吹き付けてくる風が冷たかった。なんだか、雨雲が月の光を遮っている暗い夜だった。よろめきながら延命公園に入った僕は街灯の真下に設置続きを読む
posted by 罧原堤 at 18:26| 現代詩フォーラム-散文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ジュリエットには甘いもの 後編

   15  ひしゃげた心のクラゲたち

 二つの影が夜空を走っていた。谷の亀裂のように。谷。それはどこの谷でもいい。世界の名所などではなくともいい。ニューヨークの崖でもいい。そこでは少年がルアーを激流にただよわせ、父親に、
「はは、まだまだだな、あと半年は練習しないとな」などと言われ、続きを読む
posted by 罧原堤 at 18:27| 現代詩フォーラム-散文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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