2011年08月12日

1. 蠅車掌

 よろこびにはちきれんばかりに、チアリーダーが嬉しそうにポンポンをふるようにイチョウ並木全体がゆれ動いている。その葉陰にハエが一匹ひそんでいても誰が気づくだろう。ハエには風によってイチョウの葉が揺らされているのではなく、イチョウの葉が動くこと続きを読む
posted by 罧原堤 at 19:01| テキスポ-その、不思議な、夜の | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2.チワワみたいに小さくて

 脳がねばっとして、何も手につかない。床には数日前に嘔吐したウィスキーとその日に食っていた食べ物が、吐き散らかされたままで、悪臭を放ち、部屋から抜け出るとき踏むと足に粘りついた。ただ拭きとればいいだけのことすら、する気にならなかった。どうでもよく続きを読む
posted by 罧原堤 at 19:03| テキスポ-その、不思議な、夜の | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

3. 君は僕のミス・ヒロイン

 君は今でも郵便物を振り分けていますか?
 時間に追われて。みなと一緒に。新しく入ってきた人ともいろいろ話してるんでしょうね。もう、僕たちは無関係に生きているんですね。互いの世界で別々に。
 あなたとはバイトでほぼ同じ時期に入り、それから3続きを読む
posted by 罧原堤 at 19:30| テキスポ-その、不思議な、夜の | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

4. marker world

 ゆったりとカーテンがたるんで机の端にかかっていた。僕はカーテンを手で払い、窓を開け外を見た。アスファルトの道に白い文字で大きく『止まれ』と書かれてあった。いったい誰が書いたのだろうか。僕は何か得体の知れない大きな存在者を漠然と予感していた。『止まれ続きを読む
posted by 罧原堤 at 19:33| テキスポ-その、不思議な、夜の | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

5. 菌が選んだ陶商店の辛子酢味噌

 ある年老いた菌が死に場所を求めてさまよっていた。若い頃は天から授かった美貌で体内から体内へと住処をかえては各地で絶賛されていた菌だったが、寄る年並みには勝てず寄る辺なく道端の糞などに居ついてはかつての輝きを知る味噌商人などに哀れみの眼差しで見られ続きを読む
posted by 罧原堤 at 19:35| テキスポ-その、不思議な、夜の | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

6. 退屈だし。恥辱。だが愛。だが気のせい。

 近くに大きな公園があって、僕は、夜中、いつも一人で出歩いていた。街路樹の木の葉が街灯の明かりに照らされている。緑色に。吹き付けてくる風が冷たかった。なんだか、雨雲が月の光を遮っている暗い夜だった。よろめきながら延命公園に入った僕は街灯の真下に続きを読む
posted by 罧原堤 at 19:37| テキスポ-その、不思議な、夜の | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。